■新潟県の結納について■
   新潟県(上越地区)  新潟県(中越地区) 新潟県(下越地方)
品数   7、9品 7、9品
結納金の名称 帯料、御結納 帯料、御結納 帯料、御結納
結納金の金額 30〜50万 30〜50万 30〜50万
結納金額の基準      
品目   目録、長熨斗、末広、御結納(帯料)、御酒、御魚、寿留女、子正婦、多喜茶  {長岡地方} 目録、長熨斗、末広、御帯料、鮮魚料、 鰹節、寿留女、子正婦、友白髪、家内喜多留
特徴    長岡地方では「多喜茶」といって、お茶を結納品に加えている。この習慣の由来については、「お茶の木は常に青々と葉が茂り大木の日陰でも育つ(姑のそばでも円満に育つ)ということで、昔殿様が広めた」といわれ、「それを受けた嫁側は子袋にいれて親類に配る」のがしきたりであるとしている。  
結納及び結納返しのしきたり 加茂地方では、結納には仲人と婿方の両親、本人が同行するのが一般である。嫁方では酒肴を設け、嫁も含めて接待する。一方長岡地方では、結納は嫁方の自宅か料理屋などで行われている。婿方からは仲人夫婦、両親、親族代表が一名出向き、結納を納める。嫁方では酒肴の接待をし、宴半ば頃、嫁が挨拶に出る。この時婿方から嫁に婚約指輪が渡される。また帰りには婿方に引き出物をもたせる。    
結納を納める前に行う儀式 「喜芽酒」酒一升を持参するが市内ではあまり行われていない。 「喜芽酒」仲人が本人と酒二升、肴料、菓子折を持って嫁方へ行き婚約の指輪を贈り結納の日取り等を決める。嫁方では酒、肴で接待をする。 「きめ酒」「手打ち」話が決まると下仲人と親が娘を頂きに伺う。特に儀礼的な言い方はないが「いただきにかかる」とか「もらいにゆく」と言っている。この時に真綿を用意して行く。白からものが始まるということと真綿の真の字が本心又は真心と言う意味を託し持参する。最近では真綿の代りに白生地、白羽二重又色にかかわらず色ものとか小紋等を用意する家もある。婚約前なので赤白水引を使用し紙は白のみで上部中央に品名を書き(真綿、白生地等)下部中央に親の名を書いて持参する。金銀水引や寿の文字は使用しない。その席で酒が出ると承諾したことになり日を改めて「きめ酒」になる。「きめ酒」又は「手打ち」とも呼び下仲人と親で酒二升、鮮魚料と末広を金銀水引で飾り嫁方へ持参する。本人は同行しない。最近では「きめ酒」と結納を同時に、「いただきにかかる」と「きめ酒」を同時に行うことが多い。
結納について 結納の品は目録、長のし、末広、金包、多留、寿留女、子生婦、茶、白賀の九品揃で目録は横目録を使う。嫁方は婿方より贈られた結納品の目録だけ取替え他の品はそのまま使用する。    
結納時の土産について 家族には久和志(菓子)一折と多喜茶一箱(二缶入)を持参し、仏前に線香とローソクのセットを、時には神前に香を持参する場合もある。 家族には御一同様として現金(五万〜十万)を包んで行く。 家族に、なるべく身につけるものを持参する。家族全員及び結婚している姉妹にも持参、配偶者にはしない。親類の人々には、これからのおつき合いの為、挨拶の意味で名刺代り程度のものを持参する。
家族書、親族書について 家族書、親族書はあまり使用しない。 家族書、親族書はあまり使用しない。 家族書、親族書は人数の多い場合は別々にするが、少ない場合は一通ですませる。使用は多くなっている。
結納当日について 仲人、両親、本人、親族代表、近しい人の七名位で嫁方へ持参する。嫁方では桜茶とオチツキノモチを出し終って結納式を行う。祝宴は祝膳、引物を用意し結婚式に準じて行う。当日の費用は嫁方の負担で全般的に長岡、高田等は城下町であり新潟は港町であったので、新潟市に比べ上越、中越の方が派手である。 仲人、両親、本人、親族代表で午前中嫁方へ結納を持参する。婿は仲人に導かれ嫁方の仏壇にローソク菓子折を供え御先祖へあいさつをする。終ってホテル又は料亭等へ赴き酒肴のもてなしを受ける。嫁方からは両親、本人、親族代表1〜2名が同席し祝宴を行う。当日の費用は負担する。上越、中越地区で結納にお茶を使用するのは、かつて長岡城主牧野家が肥後熊本と縁組の節、結納の中にお茶があり牧野家もそれにならいお茶を使用したのが始まりとされている。 結納式は嫁方の祝言を意味するので、仲人、両家両親、親族代表、本人が出席、約十名位が一般的のようで、席順は上座から両親、親族代表、本人の順で着席、仲人が末席になる。嫁方の家族や親族を紹介する意味で結納の披露宴を行い、この場合結婚披露宴よりは簡単にする。祝膳、菓子、引物でもてなすが、最近はホテル等の出合いの方法が多くなり簡略化されて来ている。招待を受けた客は御祝品又は御祝金に末広、清酒を添える。祝金の額は結婚式の祝金よりやや控え目にする(二万位)。仲人は夫婦で出席するので五万円位を包んで行く。親族代表の分は両家で夫々負担する。嫁方はこの外料理人、仲居、運転手にも祝儀を出し仲人には損をかけない程度の車代を用意する。受書はあまり重要視されていないが受書を出す場合は両家共受書を出す。戦前は結納の時には本人は出席せず結婚式が終り初めて嫁の実家へ伺いローソク、線香、菓子折を仏前に供え御先祖のあいさつをする。これをイチゲン(一見)と呼んだが最近は本人も出席するので、この時に仏前へ供え御先祖のあいさつをするのでイチゲンユイノー(一見結納)と呼んでいる。嫁方からの結納は荷送りの時に持参することが多く、結納金は半返しが多い。
お返し結納について 嫁方の結納は婿方より贈られた結納品の内、目録だけを取替え他の品はそのまま使用する。袴料は半返しが多い。荷送りの時に持参する場合もある。最近は嫁方から和服、式服、時計等、品物で返すことも多くなって来た。 嫁方の結納は婿方より贈られた結納品の内、目録だけを取替え他の品はそのまま使用する。袴料は半返しが多い。荷送りの時に持参する場合もある。最近は嫁方から和服、式服、時計等、品物で返すことも多くなって来た。
中越地区 嫁方から結婚の前日に結納返しを行う。結納品は前述の通り婿方から結納品の目録だけを取替え持参する。お土産料は婿方から頂いた額と同一にする。
嫁方の結納は婿方より贈られた結納品の内、目録だけを取替え他の品はそのまま使用する。袴料は半返しが多い。荷送りの時に持参する場合もある。最近は嫁方から和服、式服、時計等、品物で返すことも多くなって来た。
荷物納め及び土産について 荷目録は使用しない方が多い。書いても便箋程度ですませる。祝儀を出し酒肴のもてなしを行う。 戦前は釣り台で荷送りをしたが、現在は家具店等の業者から直接届けられるので荷目録は殆んど使用しない。 荷目録は大部分の人が使用する。嫁方では「御荷物数々」と印刷された荷受書を出す。荷送りは身内の人は行かないことになっているので、身近な他人を荷宰領に立て荷物の受渡しをする。この時嫁方の結納も持参する。荷宰領、運転手、手伝人には祝儀と祝酒を出すが、運転手には酒を出せないので酒のビン詰を土産として出す。婿方でも祝膳と祝儀を出す。
結納から結婚式までに行われる儀式  
結婚式について 結婚式当日は嫁方から仲人、両親、本人、親族代表とで婿方の家を訪ね仏前へお参りをする。婿方では桜湯と、オチツキノモチを出し、それを頂いてから式場へ行く。最近はホテル・式場等の利用が多く、特に変ったものはない。   下越地区 当日仲人とムカエ女とで迎酒二升と迎魚(鯛)二尾を持参して嫁迎えに行く。ムカエ女とは昔武家嫁入りの名残で花嫁と同年輩位の未婚の女性に着飾らせ、いざの時の替玉にしたのが始りとされている。現在は型式的になり振袖姿の若い女性が華やかさを添えてくれる。嫁方では迎酒、迎魚を受取り嫁方から送り酒一升、送り魚一尾を婿方へ渡した後花嫁を送り出す。花嫁が婿方へ到着し一休みのためオチツキノモチを出しそれを食べ結婚式に移る。オチツキノモチは気分を落着かせるためのもので、現在はホテル・式場等の利用が多くオチツキノモチを出す風習が少なくなり、又嫁迎えも行われなくなって来た。式が終ると新婦は婿方の仏壇に御先祖へのあいさつをしてから披露宴となる。前述の通り結納式が嫁方の祝言に対し結婚式は婿方の祝言とされているため当日の費用は婿方の負担が一般的だが、最近は両家の出席人数割が通例になってきた。
仲人への御礼     仲人の御礼は当日会場で済ませる場合と2日〜3日中に両家の親が揃って仲人宅へ伺う場合とがある。金額は仲人から頂いたお祝の倍返しが一般的で、その割合は婿方6、嫁方4が多い。